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特集・大越孝太郎 其の弐

フィギッシュフィギッシュ
大越 孝太郎

青林工芸舎 2000-01
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新連載記念2回目。
90年代中盤にあった休筆時代の前と後の作品を両方収録。
表紙が美少女、フィギュア、標本、骨…と大越マンガに頻出するモチーフで固められ、大きく描かれた少女の病んだ顔がまた猟奇な雰囲気。
現在手に入る本では一番手に取りやすくて本屋にある確率が高い本です。

「ひとにやさしく」
グランドチャンピオン連載作品。連載したものから6つをセレクトして掲載。
この作品が休筆前の作品です。全体的にコメディ風味の短編作品。絵の線も今よりも太いです。
Sっ気があり、あるものを嗜好する歯医者の「歯医者のおつまみ」は猟奇要素が見え隠れしています。
きぐるみバイトの女の子の話「夏の思い出」はちょっとお色気だったのが、工藝建設なる会社のOL・ミキとモヨコが出てくる「混浴露天風呂」「雪の日はカゼをひこう!」にいたってはすっかりお色気コメディに。
今ではほぼ完全に猟奇作品のみを発表しているので、今となっては珍しい作品だと思います。
未収録があるのですが…今連載している雑誌と出版社が一緒なので、単行本としてまとまらないかしら?なんて思います。

「でんでん商店街」
ヤングサンデー掲載作品。
下町のでんでん商店街の魚屋の娘:辰巳なちを主人公にした下町の雰囲気とデパートに飲み込まれる寸前でも義理人情と商売の神様への信仰心を貫き、そして…というちょっと熱熱血で優等生っぽい作品。
掲載紙が掲載紙だからか、少年サンデーによくある雰囲気なのか…と思いきや、なちが無駄にパンチラしているコマが異様に多くて妙に本筋以外が気になっちゃう作品になっていて熱血が中和されています。
休筆後の作品ですが、猟奇濃度は低めです。
主人公のなちが可愛くて元気一杯にコマの中を動いている様子はたまらなく可愛い。

「病院の上のマンション」
病院の上にある曰くつきマンションの話。
多分原作つきです。

「猟奇刑事マルサイ」
東京都の不健全図書になっている「猟奇刑事マルサイ」の一番最初の作品。
1話はマルサイのメンバーをマンガと文章で紹介しているのですが、そのキャラの濃さが妙におかしい。
レイプ犯をとんでもない方法で判別する桜川刑事(女性)の話は最初に読んだ時にかなり驚きました。
猟奇殺人者の心理を知るべくえらく実践的な諜報活動をする松井刑事(ヴィジュアルが某刑事ドラマの某俳優にそっくり!)、女子だけどAV大好き、結果ビデオをみるだけで中身がわかる能力を持つ千葉刑事、ある事件、その事件の被害者の少女の死因を知的に語りながらも最後には自身の嗜好を告白する穴山刑事の4人をご紹介。
それだけといえばそれだけなのですが、このインパクトある紹介は評判がよかったらしく(島田一志「COMIC IS DEAD」収録のインタビューより)、ちゃんとしたストーリーが描かれたのが第2話。
こちらは太った女性を飼い、ダイエットさせ、性奴隷にする話です。

「フィギッシュ」
モデルの女の子を食べまくりの人気モデラー(フィギュアの原型師?)の青年のもとへある日突然送られてきた生首のフィギュア。生首はモデルの女の子の顔をしていて送られ続けるフィギュアは回を増すごとに腐っていっているようだが…。
と、話を途中まで描けばホラーですが、フィギュアというアニメ的、オタク的題材を取り扱い、フィギュアイベントの様子は華やかな雰囲気です。大越氏の絵、特に美少女は劇画にアニメ絵要素が含まれているのですが、その辺はフィギュアの趣味から来ているのかしら。
絵に関しては、また後ほど書きます。

『フィギッシュ』は作者の描く事ができる漫画のバラエティ豊富な面を見せる一冊。
今読むと、短く話がまとまっているので読みやすいながら、まとまりが良すぎて引っ掛かりが少ないのが難点かな…。
全体を通して読むと「猟奇刑事マルサイ」だけが空気が違いますね。後にちゃんと単行本になるとは、あらびっくり。

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